展示レポート
RENbear 個展「さかしま天國」
2018年11月に開催された、RENbear 個展「さかしま天國」のレポートです。開催地は杉並区のアンティークショップ LECURIO です。
RENbear(レンベアー)氏は、西洋アンティークやゴシック・ロリータなどをモチーフに、かわいらしく重厚な雰囲気の人形を制作しています。球体関節人形のほか、レジン製ミニチュアドールやアクセサリーなど、様々な作品を発表しています。
2016年に自由帳ギャラリー(杉並区)で初個展を開催し、以降コンスタントに人形展を行っており、2019年5月には東京都 gallery hydrangea で個展「幻 想 廃 園」を予定しています。
「さかしま」とは さかさま・よこしま などを表し、展示タイトルは「聖なるものと邪なるものの境界は曖昧で、常にひっくり返る可能性がある」という意味が込められています。
展示のようす
▲会場中央に座する、90センチを超える大型作品。聖人の裏である背徳の王が表現されています。
▲豊潤・純血・希望などを象徴するザクロ。2つに割れた姿は対極的な印象をもたらします。
▲杯を両脇にどっしりと構える姿は、今にも動き出しそうなほど神々しく目に映ります。
心の奥底まで見透かされるような眼差しに、釘付けにされるようです。
▲背徳の王の足元に横たわる作品。白い肌、うつろな視線は全てを投げ出し服従するかのようです。
▲つややかな口元に吸い寄せられるよう。中性的な風貌に RENbear 氏独特の美意識が宿っています。
▲箱はLECURIOの物です。まるで最初からそこに居たかのように、ぴったりと収まっています。
▲少女のように見えますが、お腹に生命を宿した少年です。タイトル「さかしま」を意識させます。
▲会場の一角では作品集・しおり・ポストカードなど、グッズ販売が行われていました。
▲LECURIO は高円寺駅から徒歩5分ほどの場所にあります。西洋アンティーク品をメインに取り扱っており、アートギャラリーとして様々なイベントを開催しています。
オーナーの 岡部孝一朗 氏は造形作家としても活動しており、「伊藤計劃記録」(早川書房)のアートワークオブジェなどを制作しました。
古書や剥製などアンティーク品が所狭しと並ぶ店内に、まるではじめから場所を与えられていたかのように鎮座する人形たち。
かわいらしく無垢な姿…しかしどこか無慈悲な残酷さを漂わせる彼らのたたずまいは、特徴的な店内の雰囲気と相まって、神聖な空間に不意に入り込んでしまったかのような背徳的な感情さえもたらすようでした。
時代を感じさせる調度品の数々が、彼らのためにしつらえられた物であるかのような、強烈な引力を放つ人形たち。幻想的な美しさと、有無を言わさない厳かさが同居するような、忘れられない鑑賞体験でした。
展示情報
タイトル:さかしま天國
作家:RENbear|Twitter・Blog・Instagram・Creema・iichi
期間:2018年11月22日(木)~11月25日(日)
展示場所:LECURIO
所在地:東京都杉並区高円寺北2-35-14